There is no time to regret. I have to proceed...
もう帰りたいマイルズさん。
▼以下、感想&もろネタバレです
いやーものすっごい劇的。
昔、輸出対策で『ICO』のエンディングをあの取ってつけた感のハッピーエンドにしたと、二人の離別が海外では不評だったためだとか何とか聞き及んだ覚えがあるんですが、あ、いいんだ、死んでも…。(色恋沙汰が絡むようなものではないからかな?)こうなってみるとこの真偽の程はわかりませんが、ともかく『OUTLAST』は、超絶劇的。
これまでPCゲームに触れる機会になかなか巡り合わなかったので、単に自分が知らないだけで、こういった悲壮なエンディングも結構見られるのかもしれないですね。アメリカンなサバイバルやアクションといえば、やっぱり勇ましく最後は勝ち抜けるといったイメージが自分のなかにはあったので、こんなに壮絶なラストを迎えるとは、本当に衝撃的でした。
銃をぶっ放さないのも意外だし、『零』のように退治できるわけでもなくその上、主人公のマイルズさんてば本当に無力。無力といっても身体能力や精神力でいえばかなりの猛者ですよ。野望を抱いたフリージャーナリストなだけあって指の一本や二本なくなろうがカメラ構えちゃう、エアダクト這い上がっちゃう。骨見えてるけど感染症とか大丈夫かと心配になっちゃうくらいです。
そうでなくて存在が儚いんですよね、やっぱり。正気VS全狂気ですから。取り分け何と言ってもですね、もうね、声がね。声優さんがね。生々しくて素晴らしいんですよ(˚ρ˚)(あ、よだれが出てしまった)。脅威に怯えても声を呑むんです。見つかっては命の保証がないわけですから、走り込んだ後に抑えつける呼気やら、苦しげに痛々しげに常に息を潜めて恐怖に耐えてるんですよ。
散々声を殺して逃げ延びて、気を張り詰めさせて持ちこたえてきたのに結局、最後には殺されてしまうんでね(射殺された瞬間の吐血感も一回撃ち抜かれたことあるんじゃないかと思えるくらい鮮烈で困ります)。
総じたものを一言で表してしまえば、とんでもないエロチック。
そう言えば(ダジャレではない)『SAW2』のエリック・マシューズ刑事も肉体的、精神的に散々痛めつけられながらシリーズ4まで引っ張られた被害者でしたね。その感覚はやっぱりエロくて、以来配役のドニー・ウォールバーグ氏のファンになったんですが、あの方は『デッド・サイレンス』でもなかなかの虐められっぷりを魅せてくれて、本当にこの方の恐れおののく姿は嗜虐心をあおると思ったものです。性的いかんと残虐性は混在しているなあとOUTLAST然り、つくづく感じ入りました。
昔の拷問や公開処刑の場では、見物人たちが自慰や口淫に耽ることもあったと本で読んだことありますが、そんなことがふと思い出される面白みと残酷さで、救いようないです全く。
このゲームの何が恐ろしいって、どこまでいっても人為的な脅威でしかないというところですよね。そして終わりも始まりも見えないところ。
作中でマイルズさんが述懐する“秩序を戻したい”──本当、これに尽きるかなと。どこまで逃げても生きた心地などしません。
彼がほぼ無抵抗というのも大きな要因かもしれません。彼が攻撃してくれるキャラクターなら、抗うなら、また違った感想を持つこともできたのかもしれませんが現状は、今まで得たことのないような不気味な感覚を味わわせてくれる秀逸さです。
オンオフ利かせられること自体、マイルズさんに対しておこがましく思えてくるような、そんないや〜なリアリティーを見せつけられます。
陰影の使い方も絶妙なので視覚から得る恐怖がこれまた、たまらないです。
|-`).。(あの得体も知れない水の中…自分だったら踏み入れる気がしない。死臭の下水も大概でしたが、真っ暗闇のあの場所ばかりはいい加減にしろと思いました。マイルズさんももう、どっかおかしいんじゃないのか)
某掲示板でたまたま画像を目にして調べるまでに至ったんですが、トレーラー等も見ずにたったそれだけの情報で強く興味を惹かれたというのもなかなか貴重な出会いだったかなと思います。そもそも前述の通りPCゲームをしようと思ったことがこれまでなかったので、機会に恵まれなければ知り得ることもなかったのかなと思うと、大げさでなく感慨深い。
様々なゲームに今までもいろんな感動をもらってきましたけど『OUTLAST』は、感情的にも文字通りにも何だかもう全てが初体験です。
大変にリアルなおかげで現実世界に引きずることもできるので楽しめます。無駄にマイルズさん手法で死角を覗き込んでみたり(笑
そしてハンディカムを普段から持ち歩こうとの欲求が強く起こります。それでいざ暗闇に落ち込んでもしばらくは視野が開けます。(どうかうまいことバッテリーがそこらに落ちてますように(¯人¯)